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陰陽道 怨霊から身を守る呪術

陰陽道 怨霊から身を守る呪術

よく霊柩車に出会ったら両手の親指を隠せという伝えがあります。親指を隠すことは手印と言って密教などで呪文を唱えながら手を組んだり、忍者が姿を消すときに手を組むことと同じ呪術的な意味合いが強いのだろうが、その起源のはっきりとしたことは解っておりません。

なぜそんなことをするかというと、昔は人が死ぬとこの世とあの世の境をさ迷い、生きている人間に取り憑くことがあると信じられていたからなのです。それを防ぐためのまじないが親指を隠すことだった。

逆に死体を護る呪術もあり、死体に悪霊が入り込まないようにその死体の上に刀やその他の刃物(ハサミなど)を置くということもされています。

親指を隠す呪術は他の状況でも使われました。病人がいる家にいくときは両手の親指を握って『棟が九つ戸がひとつ、我が行く先はヒイラギの里』という呪文を唱えながら行くと病気が移らないと言うものであります。由来はよく判らないのですがこれは着いてくる病魔からうまく逃れるように考え出された呪文でありましょう。

厄除けの呪術としては『子供るす』というものがあります。これは子供を病魔から避け、護るために家の門口などに『子供るす』という文字を墨で書いたあわびの貝殻を吊るす呪術で、これを読んだ疫病神は子供はいないと思い通り過ぎる。という効果を期待しておこなわれたののであります。なぜ、アワビの殻を使ったのかと調べてみると内側がキラキラ光るので疫病神の目をくらますと思われていたらしいです。

 

赤いものを身につける呪術

赤は魔除けの効果があると言われております。陰陽道で言えば火を象徴し災いを消滅させる力があると考えられていました。よく密教でも護摩を焚いたりしますが、火の力は魔を消滅する力があるからでしょう。

時代劇で妻が出掛ける夫に火打ち石を打つシーンが見られますが、あれも魔を避けて無事に帰ってくることを願って行う一種の呪術儀礼なのです。

このようなことでも人が身につけるものにも当然赤い色がよく使われるようになりました。

昔のポピューラーだった下着、赤いふんどしもその一つです。男の子は5,6歳になると赤いふんどしを締め始め、女の子では初潮を迎えると赤い腰巻きをつけ始めました。

お年寄りも例外ではありません。還暦のお祝いには赤いちゃんちゃんこや赤い帽子を身に着けるが、これも赤が厄を祓(はらっ)て長寿を願うという意味も含まれており、十千十二支の組み合わせが、六〇年で一周りするので、また一から出直しと言うことから赤いちゃんちゃんこを身につけるという説もあるのです。

 

 

怨霊から身を守る呪術

怨霊(おんりょう)とは、自分が受けた仕打ちに恨みを持ち、たたりをしたりする、死霊または生霊のことである。生霊のことであります。

人に災いをもたらすのは、人や物だけではありません。霊魂もまたその種類によっては、人に災いを与えることがあります。特に人が強い恨みの念を持ってしまった時には、死者も生者も怨霊となって、祟りを起こすことがあります。

怨霊とは悪霊に分類される霊であり、生者も死者もなりうるとされます。憎しみや怨みを持つことで、肉体から霊魂が抜け出した生霊の怨霊と、死後に悪霊となってこの世にとどまる怨霊とが存在しているわけです。どちらも浮遊霊になることが多く、霊魂だけとなって憎しみや怨みの対象となる人のもとに取り憑いたり、さまよって祟りを起こすとして、古くから恐れられてきました。

怨霊の存在は生者たちにとって、非常に恐ろしいものでした。特に、直接的にその怨霊となった者の死や災いに関わった者にとっては、身の回りに起こるすべての不幸が怨霊のせいだと感じられたのでしょう。怨霊を鎮めるための策を講じる努力を惜しみませんでした。死者に冠位を贈ったり、手厚く葬ったり、祈りを捧げたりといった手段のほか、陰陽師の力を借りて怨霊を退治しようという試みも行われました。
それでも十分な成果を得られないとして、怨霊を神格化することでその怒りを鎮めようとする動きも少なくなく、菅原道真は天神として各地の天満宮で手厚く祀られ、平将門は複数の神社の神として崇められ、崇徳天皇もまた縁ある神宮に神として鎮座しています。

 

誰もがなりうる怨霊

怨霊は現代にも存在しています。三大怨霊のように歴史上の有名人物でなくとも、強烈な怨みの念を持つ者や非業の死を遂げた者は常に怨霊となる要素を持っています。例えば、恋人に裏切られて自殺した霊が怨霊となってその恋人やその周囲の人間に祟りを起こしたり、思わぬ事故で死亡した人がその原因となった人や場所に対して強い怨念を持ったまま怨霊になったりすることがあります。

怨霊は悪霊なので、もたらすのは基本的にマイナスの祟りです。怨霊が味わっている、または味わった苦しみと同じかそれ以上の苦しみを他者に与えようとします。この時、怨念の対象となるのは、必ずしも直接的な敵や怨みをかった人とは限りません。その身内、知人などの近しい関係にある人や、時には通りがかりも同然のまったく無関係の人に取り憑いて、苦しみを与えることもあります。

怨霊は非常に強い負の思念が体から抜け出したもので、その怨念をはらすために浮遊して、生きている時よりもずっと強大な力で祟りを起こします。怨霊への恐怖心は怨霊の神格化にまでエスカレートしていきますが、これは怨霊に対する恐怖に加え、その怨念の原因に加担したという後ろめたさ、時には同情や共感なども影響を与えているようです。

 

 

日本三大怨霊
日本三大怨霊(にほんさんだいおんりょう)とは、日本に数多伝わる怨霊の中でも特定の三人を指す呼称であります。
日本三大怨霊とは一般に菅原道真・平将門・崇徳院を指す言葉であります。
彼らはみな、政治的な争いの中で深い怨念を抱いて死んでいったため、政敵や後に遺された人々に対してさまざまな祟りを起こしたとされています。

山田雄司は、菅原道真・平将門・崇徳院が三大怨霊とみなされるようになった背景には、江戸時代における読本や歌舞伎などが大きく影響を与えているとしています

 

 

陰陽師から観た怨霊から身を守る呪術
陰陽道では怨霊から祟(たた)られている人を助けるための呪術があるが、必ずしもそれがうまくいくとは限らないのです。なぜなら怨霊から身を守る方法など、本来はありえないからであります。怨霊とは恨みを持ちながら死んだ人の霊が陰のエネルギーと結びつき、強大化してさまざまな現象を引き起こす存在であるが、その恨みが解消しなければ収まらないのです。
逆に考えれば、祟られる人とは、祟られるだけのことをしてきた人ということでもあります。それを防止することは怨霊を阻止することになります。その場合、阻止する人まで怨霊の祟りを受けることになります。よって、陰陽師も怨霊、悪霊と対峙するときはかなり覚悟が必要なのであります。

 

平安京では権力争いが絶えず、政争に負けたものや、陰謀に陥られ、無念のうちに非業の死を遂げた人物の怨念を数々受けてきたものです。代表的なものは菅原道真の怨霊であります。道真は太宰府の北野天満宮で天神さまとして今では学問の神として祀られているが、実は平安京にとって恐るべき怨霊でもありました。藤原時平の陰謀で九州、大宰府に左遷され、その地で寂しく余生を過ごした道真は死後、怨霊と化し清涼殿に雷を落とすなどさまざまな現象を引き起こしました。
平安京は陰陽師らの手により、唐の都、長安をモデルに四神相応という呪術で霊的な防御が施された都でありました。北に玄武、南に朱雀、東に青龍、西に白虎という神獣を召喚し、結界を張り巡らすという呪術であります。

しかし、このようにして作られた霊的バリアをもってしても道真の怨念を防御することはできなかったのです。道真の左遷に関わった藤原氏の公家達が、雷に打たれるなどして怪死を遂げたからであります。それほど、道真の怨念は凄まじいものでありました。怨念とは怨霊の持つ怨念のエネルギーでありますが、そのエネルギーが強ければ強いほど祟りの規模は拡大化されるのです。また、怨念は時間が経てば薄れる訳ではなく、逆に時間が経てば経つほど増大化してゆくものなのです。
道真の祟りは五〇年近くにわたって続き、『満天自在天』として祀られるまで鎮まらなかったということです。

 

古い怨霊、すなわち、怨念を増大化させた怨霊は、もはや人というより神、すなわち、鬼神と化すのです。鬼神と化した怨霊は、普通の陰陽師、行者などがその祟を封じることは困難であり、他の神仏に仲介に入ってもらうか、絶大な霊力を持つ聖人などに怨霊を鎮めてもらうほかないのです。

それでも、完全に怨霊を止めることは、困難なのです。たとえば、先住民系の神々の中には鬼神として化している神があり、その多くは封印されているのだが、その封印が何らかの拍子で解かれた場合、天変地異や災が起きると言われております。
なぜなら、それらの神は奉られていた社(やしろ)は焼かれ、その神々を奉ってきた人々はことごとく抹殺されているのだからなのです。
よく発見された銅鐸の一部が破壊されていることがあるが、これは祭祠で使っていた銅鐸を破壊することで、彼らの神を抹殺したという証なのであります。

抹殺され封印された神々は、怨念をつのらせ鬼神と化し、その恨みを晴らす機会を虎視眈々と待ち続けているのです。
鬼神は丑寅の方角からやって来るといいます。ゆえに『鬼門』というのです。丑寅とは東北という意味であります。

陰陽道では、丑虎の方角(東北)と未申の方角(西南)は鬼神の通り道として、丁寧に扱い、不浄にしないようにと教えていますが、これはこの方角に住む鬼神に祟りを受けないようにという配慮からなのであります。

 

 

(陰陽道 安倍晴明 封じられた呪術、秘められた占術 霊能力入門 参照)

 

 

 

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