石切劔箭神社本殿
大阪府
石切劔箭神社(いしきりつるぎやじんじゃ) 腫れものの治癒にかけては随一の霊験を発揮。屋根に天を指す劔箭(剣)をもつ山門がある石切劔箭神社。境内には、お百度石。参拝者はこの石と本殿のあいだを行き来して、病の治療を祈願する。
ガン細胞の治療にも効果アリとの評判も近年になって広まり、家族の回復を祈って、熱心にお百度を踏む参拝者が増えたという。近隣には薬局も軒を連ねる。
通称『でんぼの石切さん』。でんぼとは、関西弁で腫れもののこと。衛生状態が悪く、栄養も不足がちだった昔は、皮膚病を患う人が多く、それを癒やしてくれる神さまとして、古くから信仰を集めた。
祭神の饒速日尊(にぎはやにのみこと) 可美真手命(うましまでのみこと)は、天照大御神から授かった十種(とくさ)の神宝(かんだから)の力で、神武天皇の大和建国やその陶冶をたすけた父子神である。病を治す力も、その十種(とくさ)の神宝(かんだから)に秘められているといわれる。(大阪府東大阪市)
祭神 饒速日尊(にぎはやにのみこと) 可美真手命(うましまでのみこと)
ご利益 病気平癒(とくに皮膚病・はれもの)など
大阪府
住吉大社 美しい太鼓橋と、船団を模した四つの本殿が自慢。境内の池に架かる優美な反橋(太鼓橋)は、川端康成の小説の名でも有名。大阪城の女主人・淀殿が奉納したといわれる。対して、参道にずらりと並ぶ六百以上の石灯籠は、ナニワの商人たちが奉納したものである。
全国に二千以上を数える住吉神社の総本社だが、この通称『住吉さん』関西随一の初詣のメッカで、毎年正月には二百万人以上の参拝者がつめかける。
祭神の表筒男命(うわつつおのみこと)、中筒男命(なかつつおのみこと)、底筒男命(そこつつおのみこと)は、『住吉三神』と呼ばれる兄弟神。神功皇后(じんぐうこうごう)が朝鮮半島に遠征したとき、その船団を守護したという。皇后がこれに感謝してこの兄弟神を祀ったのが起源だ。三神は、縦一列に並ぶ第一、第二、第三、本宮に祀られ、神功皇后を祀る第四本社だけは、第三本宮の横に建つ。海をゆく船団を思わせる独特の配置は、国宝に指定されている。(大阪府大阪市)
祭神 表筒男命(うわつつおのみこと)、中筒男命(なかつつおのみこと)、
底筒男命(そこつつおのみこと)など
ご利益 海上守護 歌道上達 禊祓い(みそぎばらい)など
大阪府
大鳥大社 ロマンチックな白鳥伝説に彩られた、花菖蒲の園。石畳の参道を歩いて八角鳥居をねけたところに拝殿がある。大鳥、鷲(おおとり)、白鳥(しらとり)の名を持つ社の総本社。
祭神の日本武尊(やまとたけるのみこと)は、遠征先の伊勢で没したが、臨終のとき、その霊魂は白い大鳥となって飛び立った。この伝説が社名の由来だ。
白鳥は各地に立ち寄ったのち、最終的には和泉の地(大阪府)に舞い降りた。
各地の大鳥神社や白鳥神社は、白鳥が途中で休んだ地に建てられたものであり、最後に降り立ったこの地に建立されたのが、この大鳥神社である。
約1万5千坪の広さを持つ境内は、白鳥が降りた時に一夜にして生い茂ったと伝えられる。『千種の森』(ちぐさのもり)に覆われている。
その名のとおり、植物の種類は豊富だが、とりわけ名物とされるのは菖蒲園。約50種10万本の菖蒲が一斉に花咲く初夏の菖蒲祭りには、多くの行楽客が集まる。(大阪府堺市)
祭神 日本武尊(やまとたけるのみこと) 大鳥連祖神(おおとりむらじのおやのかみ)
ご利益 文武上達 商業守護 厄除けなど
和歌山県
熊野三社 ヤタガラスをシンボルとする、神仏習合の共同体。世界遺産に認定された紀伊山地の一部だけに文化財や自然の美景は豊富である。
熊野本宮大社(くまのほんぐうたいしゃ)、熊野速玉大社(くまのはやたまたいしゃ)、熊野那智大社(くまのなちたいしゃ)の三社は、けわしい山岳地帯に点在し、それぞれの主祭神である家都美御子神(けづみこのかみ)、熊野速玉神(くまのはやたまのかみ)、熊野夫須美神(くまのふすみのかみ)を互いに勧請しあうことで、強い連携をたもっている。
その祭神たちは、他の地域ではよりポピュラーな名で親しまれているが、仏教や修験道の影響を色濃く残す熊野では、ほとんど別の神さまといってよいほどの変容を遂げているため、特に『熊野神』と総称される。そのシンボルはかつて神武天皇の案内役をつとめたという、三本足のヤタガラスだ。
南方にある133メートルの断壁を落下する那智の大滝は有名で、ここには大己貴命(おおなむちのみこと)『大国主命』(おおくにぬしのみこと)が祀られている。
(和歌山県東牟婁郡・新宮市・田辺市)
祭神 家都美御子神(けづみこのかみ)、熊野速玉神(くまのはやたまのかみ)、
熊野夫須美神(くまのふすみのかみ)
ご利益 国土安穏 出世成功 商売繁盛
兵庫県
西宮神社 えべっさんの恒例行事は『元旦ダッシュ』。1月1日午前6時ー西宮神社がテレビ中継されていたらぜひとも観てほしい。
開門と同時に、約1千人の男たちが二百三十メートル先の本殿へダッシュ。
先着三名だけが、その年の福男の称号とえびす像を得るのだ。この『福男選び』は、百万人の参拝客を集めるお祭り『十日戎・とおかえびす』の目玉イベントだ。
主祭神の蛭子命(ひるこのみこと)とは、七福神の恵比寿様のこと。彼を祀る神社は、全国に約三千五百もあるが、その総本社が、この『西宮のえべっさん』である。
伊邪那岐命(いざなぎのみこと)と伊邪那美命(いざなみのみこと)の子・蛭子命(ひるこのみこと)は、体が不自由だったために生まれてすぐ海に捨てられたという、悲惨な過去を持つ。
漂流してたどり着いた先が、この神社の近くにある西宮の海岸。そこで土地の人々に大切に育てられ、やがて海の神さま、福の神さまへと成長していったのである。(兵庫県西宮市)
祭神 蛭子命(ひるこのみこと) 天照大神(あまてらすおおみかみ)
大国主命(おおくにぬしのみこと)
ご利益 豊漁 航海安全 交易守護など
鳥取県
白兎神社(はくとじんじゃ) 海水浴場のそばにある、因幡の白兎(しろうさぎ)ゆかりの丘。中国地方を代表する神社といえば、なんといっても出雲大社である。その祭神大国主命が、若き日にサメに毛皮をはがれて泣いている白ウサギを助けてやったという逸話は、神話というより童話として広く親しまれている。
白兎神社の祭神は、その逸話の主人公たる『因幡の白兎』だ。逸話の舞台である白兎海岸は、現在は海水浴場になっているが、その喧騒に背を向けて内陸方向に少し歩くと、丘の上に建つこの神社に着く。白ウサギはこの丘で身をかわかし、境内にある池で身体を洗ったと伝えられている。
出雲大社と比較にならないほどの小さなこの神社が、いつ建立されたのかは定かではない。が、本殿の土台の石に菊の紋が付いていることから、じつは天皇家ゆかりの、由緒ある社なのではないかと推測されている。(鳥取県鳥取市)
祭神 白兎神(7はくとじん)
ご利益 皮膚病 火傷(やけど)の治療
岡山県
吉備津神社(きびつじんじゃ)鬼のうらみ節が地下でひびく、桃太郎の本拠地。
祭神の吉備津彦命(きびつひこのみこと)は、桃太郎のモデルとして知られる。朝廷から派遣された軍の将として、温羅(うら)なる悪賊(朝鮮から渡来したらしい)を滅ぼし、吉備の国(今の岡山県)を平定した。鬼退治の伝説は、そのいきさつがベースだという。
吉備津彦はやがて吉備国の領主から守護神になったが、のちに吉備国は備前・備中・備後に三分割される。以後、神社も三社に分かれ、三地域のすべてにおいて、一の宮とされた。
備前の一の宮のみ。社名が吉備津彦神社だが、他の二社は同名。岡山市にある吉備津神社は、備中の一の宮である。
名物は、四百メートルの回廊で本殿とつながる『御竈殿』(おかまでん)と、竈そこでおこなわれる『鳴釜神事』(なるかましんじ)。伝説によれば、御竈殿の地下に温羅の首が埋められており、神事は地下からひびくうなり声を鎮めるためにはじまったそうだ。
(岡山県岡山市)
祭神 大吉備津彦命(おおきびつひこのみこと)
ご利益 延命長寿 工業・運輸・交通守護など
広島県
厳島神社(いつくしまじんじゃ)海中にそそり立つ大鳥居がシンボルの『リアル竜宮城』。広島湾に浮かぶ宮島に築かれた海上神社。なんと、島全体がご神体である。
海中から起立する六本脚の朱塗りの大鳥居のほか、主祭神の宗像三女神(むなかたさんじょじん)をまつる本殿や、その周囲に配置された平舞台、高舞台、能舞台、反橋、廻廊など、国宝や重要文化財が多数あることでも有名である。また、毛利元就(もうりもとなり)の出世戦さで知られる『厳島の戦い』は、この神社周辺が舞台となった。
壮麗な建築群の基礎を築いた最大の功労者は、平清盛(たいらのきよもり)だ。満潮時には海面が床下まで上昇し、さながら、竜宮城のような様相を呈する。
千五百年の歴史を誇り、全国に五百ある厳島神社の総本社で、松島や天橋立と並ぶ日本三景のひとつで世界文化遺産でもある。だが、幾度となく災害に遭遇しており、現在の大鳥居は八代目にあたる。(広島県 廿日市市・ひろしまけん はっかいちし)
祭神 市杵島姫命(いちきしまひめのみこと)田心姫の命(たごりひめのみこと)
湍津姫命湍(たぎつひめのみこと)
ご利益 国家鎮護 航海守護 芸能上達
香川県
金刀比羅宮宮(ことひらぐう)登山と美術鑑賞を同時に満喫できる!金毘羅(こんぴら)参り。象頭山(琴平山)の中腹。海抜二百十メートルの高台にあり、参拝者は最寄駅から本殿まで約一キロ、七百八十五段の階段を登らねばならない。楽な道ではないが、その分瀬戸内海を見下ろす本殿前からの眺望は、四国随一の絶景である。
全国に七百近くある金比羅・琴平・金刀比羅神社の総本社が、この通称『讃岐(さぬき)のこんぴらさん』だ。江戸時代には伊勢参りとならんで金毘羅参りが流行り、『スシ食いねぇ』のセリフで有名な、森の石松が参拝したことでも知られる。
主祭神は、大物主神(おおものぬしのかみ)だが、明治以前は『金毘羅大権現』と呼ばれ、ほとんど別の神さまと化していた。そのルーツは、インドのクンピーラ神だという説もある。崇徳天皇はこの金毘羅大権現を深く信奉しており、崩御後の合祀された。所蔵する書面の名品は五千におよび、美術館級である。(香川県仲多度郡)
祭神 大物主神(おおものぬしのかみ) 崇徳天皇(すとくてんのう)
ご利益 航海安全 海難救済 雨乞い
徳島県
大麻比古神社(たいまひこじんじゃ)神社らしからぬ西洋風の石橋は、日独友好のシンボル。標高五百三十八メートルの大麻山のふもとにある、阿波国(徳島県)の一の宮。地元では、『おわさはん』の通称で親しまれている。境内の丸山公園には、第一次世界大戦中のドイツ兵捕虜がボランティアで築いたメガネ橋とドイツ橋がある。捕虜たちと地元の人びととの交流は、今も美談として語り継がれ、両橋は日独友好のシンボルと称されている。
神武天皇の時代、阿波の開拓を託された天富命(あめのとみのみこと)という神は、この地に麻の種をまいて、繊維業を育成したという。その後、天富命の祖神である天太玉命(あめのふとたまのみこと)が招かれ、守護神としてまつられたのが、神社の起源だ。よって祭神の大麻比古大神とは、天太玉命(あめのふとたまのみこと)の異名にあたる。猿田彦大神(さるたひこおおかみ)は、元来は背後の大麻山の頂上に祀られていたらしいが、いつからか合祀されるようになった。(徳島県鳴門市)
祭神 大麻比古大神(おおあさひこのおおかみ) 猿田彦大神(さるたひこおおかみ)
ご利益 方除け 交通安全 厄除け
(開運パワースポット 神社へ行こう 神様と神社 神社のしきたり 日本の神さまが良くわかる本 お参りしたい神社百社 参考 参照)