氣の施術師だからこそわかる氣と心、健康的な人生を過ごしていくために大切なこと。少しずつお話しています。
新年と春とご先祖様

新年と春とご先祖様

年賀はがきのごあいさつの言葉に「迎春」「賀春」「新春拝賀」などというものがあります。
一年で一番寒いころになぜ「春」を使うのでしょうか。

紀元前三世紀ごろまでは、日本人は春夏秋冬の季節の変わり目にあまりこだわっていなかったようです。
農耕民族であった当時、庶民の感覚では、草木が芽生えて成長する春に耕し、豊かに実る秋に収穫することの繰り返しが当たり前でした。春と秋だけが実感される時代だったのでしょう。

現在使われている西洋渡来の新暦では、明治になってからの登場で、日照時間がもっとも短くなる冬至を過ぎたころに設けているが、日本で古くから使われてきた旧暦では立春のころ、春が一年の始まりでした。つまり、日にちがずれて、新しい暦の一月から新年が始まるように改められたのに「春」という言葉だけが今も残っているわけです。

春はこの一年が実り豊かでありますように、とご先祖様に祈願する季節でもあります。
そこで、新年の一番大事な行事は、御霊祭り(みたままつり)とされていました。これはお盆の行事とほとんど同じものですが、我が国に仏教が伝わるまでは、ご先祖様の霊を年神(としがみ)さまとしてお祭りしていたのです。年神さまは農耕の神でもありました。「年」は『稔(ねん)」に通じる発音で、穀物が一回実る期間を表す文字です。「豊年」を「豊稔」と書いても誤りではありません。

また、めでたいお正月ということは、「芽出度い」から来た表現で、草木が芽を吹き、すくすくと伸びることへの期待を死ねしています。

年の初めにご先祖の霊をご供養する習わしは、仏教の信仰としっくり融合し、暦の立春の頃に新年を迎えると、一年の豊作を守ってくださるご先祖様の霊を「お正月さま」と呼んで、農村の人々は心を込めてお祭りしたのです。
お正月にお盆と同様な御霊祭りをするしきたりが、最近まで残っていました。いや、今でも行われているところもあります。

 

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